企業の利益はどこからくるのか
最近日本株が絶好調だ。バブル崩壊後の最高値を更新して更に値上がりしている。でも俺の持ち株はそんなに上がっていないし、株が下がっている時はしっかり下がる。自分の株の才能の無さを痛感している。悲しい。
そんな株高による好景気感のせいかもしれないが、春闘で大幅なベースアップの話をよく聞く。人手不足も相まって、初任給もかなり上げている企業が多い。俺はセミリタイア生活に入ったから、そんな景気のいい話に乗れずに悔しい思いをしているかというとそうでもない。なぜなら、生産性最悪の日本で、そのベースアップの原資はどこからくるのか甚だ疑問だからだ。
企業がこれまで以上に利益を得ようとするなら、コスト削減か、新たな価値を生み出すかの2つの方法しかない。企業は失われた30年で非正規雇用の拡大等、コスト削減で対応してきた。もうコスト削減できる余地は少ない。それは俺が社畜時代に体験してきたことだ。ならば新しい価値を生み出すことによって大幅なベースアップの原資となる利益を生み出すしかない。
日本企業は新たな価値を生み出せているの?
これまでにない新たな価値というと最近では生成AIくらいで、それに伴う半導体需要くらいしか思い浮かばない。半導体製造に関わる企業は需要の高まりもあり好調のようだが、日本はAIや半導体の先端技術については世界から周回遅れしている。
日本のお家芸といえば自動車産業だが、新しい価値と言われた電気自動車とかは、製造から廃棄までを考えた時、むしろ地球環境に悪いことがわかってきてメルセデスも電気自動車一辺倒の方針を変更した。Appleでさえ電気自動車開発から手を引いた。水素自動車はまだまだこれからの技術だ。自動車産業にも新しい価値はまだ育っていない。
ならなんで今、日本企業全体で大幅なベースアップできるの?
単純な疑問だけが残る。
最悪の時に最悪の手を打つ
原資もないのにベースアップしてしまった日本企業は無い袖を振らなければいけなくなる。そこへきて2024年4月からは、いよいよ物流業界や建設業界にも「働き方改革法案」が施行される。人材不足・人手不足が叫ばれている中での「働き方改革法案」の完全実施は何ともタイミングが悪いと言わざるを得ない。最悪の時に最悪の手を打ってしまうある意味日本のお家芸とも言える。そこかしこの職場で仕事が回らなくなるだろう。
「働き方改革法案」に加えて、人材不足・人手不足で労働環境は加速度的に悪化していく。俺は「働き方改革法案」の理念とは真逆の方向に向かうと見ている。つまり労働者のサービス残業の増大だ。
過労死するほど労働をしているのにサービス残業だからそれが表に出ることなく、「働き方改革法案」で労働環境は良くなったというディストピア感満載の世界になる。その後はサービス残業増大でも利益が出なくなった企業が続出し、企業が生き残るために、いよいよ正社員の首を切りやすくなる社会が訪れる。
サラリーマンよ「とりあえずFIRE」を目指せ
これからのサラリーマンは近い将来訪れる労働環境の悪化に備えなければならない。幸いにも今のベースアップで、しばらくの間賃金も上昇する。ベースアップによる賃金上昇とその後の労働環境の悪化。これは皮肉にもFIREを決断する環境が整ってくることを意味する。サラリーマンの皆さんは賃金が上昇しても生活レベルを上げずに、近い将来訪れる不況に備え、今はベースアップ分を貯蓄に回して欲しい。
不況による悪化した労働環境は、あなたの命を脅かすレベルのものになるかもしれない。次の不況は、それくらい労働環境を悪化させる恐れがある。しかし、不況になったら株式だって暴落しているはずだ。そこで、ベースアップで貯蓄しておいた資金を株式に投入する。そうすればそれなりの金融資産を持つことができるだろう。その金融資産はサラリーマンにFIREの選択肢を与えてくれる。FIREは悪化した労働環境の中で、あなたが死んでいるように生きている社畜に変り果てる前にあなたを救ってくれる。
これからのサラリーマンは「とりあえずFIRE」を目指すべきだ。「とりあえずFIRE」なら、労働環境の悪化がそれほどでもない場合、FIREすること自体をやめることもできるし(その場合は金融資産ができる)、耐えきれないほど労働環境が悪化すれば、蓄えた金融資産の力で、そこから避難(転職やそのままFIRE)もできる。ベースアップが続出している今の状況は最後のチャンスだ。検討を祈る。